「良かれと思って」が裏目に出るとき。小さな会社の給与計算で起きがちなこと
「良かれと思って」が裏目に出るとき。小さな会社の給与計算で起きがちなこと
今回は、実務から半歩だけ離れて、現場で繰り返し見かける“良かれ対応”を振り返ります。
人数の少ない会社では、社長や担当者が
「今回は有休にしておきます」
「遅刻はつけなくて大丈夫」
「特別にこの処理にしておきます」
と、柔軟に対応する場面が少なくありません。
社員思いの気遣いであり、職場を円滑にしたいという純粋な善意です。
ただ、この“良かれ対応”があとから会社も本人も困らせるパターンは本当に多くあります。
■ よくある “善意が裏目に出る” パターン
1. 退職時に「過去の扱い」を持ち出される
- 有休の扱いが毎回ちがう
- 遅刻早退をつけなかった月がある
- 欠勤が有休化されていた瞬間がある
→ 「あの時はこうしてくれた。今回も同じにしてほしい」
善意の対応ほど記録が残っておらず、説明がつかない/整合性が取れない状態に陥りやすいのが特徴です。
2. 他の社員との整合性が取れなくなる
- 同じ遅刻でも、この人は控除なし
- 有休の付け方が人によって違う
- 月給者だけ甘い、パートだけ厳しい
制度の問題ではなく感情の問題に転化し、修復が難しくなります。
3. イレギュラーが積み重なり、気がつけば“ぐちゃぐちゃ”に
特例メモが増えるほど、給与計算は属人化した暗黙知になり、担当者以外に引き継げない状態へ。
- 月末ごとに判断が変わる
- 記憶に頼る処理が増える
- 「なぜこうしているのか」を誰も説明できない
結果として、善意が担当者を苦しめる構造になります。
■ なぜ“良かれ対応”はうまくいかないのか?
理由はシンプルです。給与計算は“個別対応”と相性が悪い仕事だから。
- 就業規則
- 勤怠ルール
- 法律
- 他社員との公平性
これらが必ず絡むため、1人の例外が全体のバランスを崩す力を持ちます。
決して、社長や担当者の“気持ち”が悪いわけではありません。
■ “善意が生きる”のは、ルールの内側に柔軟性を置いたとき
制度の外側での親切は矛盾を生みますが、制度の内側に“逃げ道”を用意すれば、誰も困らない。
- 遅刻早退の扱いを明文化する
- 有休へ振替できる条件を明確にする
- 例外処理の承認フローを決める
- 担当者が判断しなくてよい仕組みにする
こうした**“ルールの中の柔軟性”**が、社長の気遣いも担当者の優しさも、公平さの中で活かしてくれます。
■ まとめ(ひと呼吸おいて)
“良かれ”そのものは悪くありません。
問題は、制度の外で行われる例外処理です。
優しさを大切にしつつ、仕組みの中に置く。
それが、会社も社員も守る一番の近道です。
3月24日(火)「社内にひそむ“ローカルルール”。いつの間にか文化になっていること、ありませんか?」
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