私が「担当者育成」にこだわる理由
専門家と会社をつなぐ人を増やしたい
給与計算や社会保険手続きの相談を受けていると、以前から感じていたことがあります。
それは、
「専門家と会社をつなぐ人が足りない」
ということです。
私は社労士として、給与計算や手続き代行の仕事が好きですし、今後も続けていきたいと考えています。
特に、社長が一人で給与や労務を抱えているような会社であれば、業務をお預かりすることで大きな負担軽減につながります。
そのような支援には大きな価値があります。
一方で、会社の規模が少し大きくなると、総務担当者や労務担当者、経理との兼務担当者が配置されるようになります。
そんなとき、私が感じるのは、
専門知識の不足よりも、情報を整理して専門家へつなぐ役割を担う人材が不足している
ということです。
社労士レベルの知識は必要ありません
私は担当者に社労士レベルの知識を求めているわけではありません。
法改正を追い続ける必要もありませんし、制度を細かく覚える必要もありません。
ただ、
- 会社で何が起きているのか
- どんな情報が必要なのか
- 誰に相談すべきなのか
を考えられる力は必要だと思っています。
例えば、社員の入社や退職、育児休業、休職、給与体系の変更など、会社では日々さまざまな出来事が起こります。
そのときに、
「何か手続きが必要ではないか」
「一度専門家に相談した方がよいのではないか」
と気づける担当者がいるだけで、会社の対応は大きく変わります。
私が育てたいのは「気づき、整理できる担当者」です
担当者育成というと、知識を教えることをイメージされるかもしれません。
しかし私が本当に育てたいのは、知識量の多い担当者ではありません。
会社の中で起きていることに対して、
「これは何か関係がありそうだ」
「何か確認が必要かもしれない」
と気づける担当者です。
そして、もう一つ大切なのが、
情報を整理できる担当者
です。
現場では時々、
社員から受け取った書類やメールをそのまま専門家へ転送するような場面があります。
もちろん、それで解決することもあります。
しかし、それが続くと専門家は状況確認から始めなければならず、やり取りが増えてしまいます。
私は担当者に、
「何が起きているのか」
「会社として何に困っているのか」
「何を確認したいのか」
を整理する力を身につけてほしいと思っています。
誰に相談するべきかを判断できる人を増やしたい
会社で起きる問題は、必ずしも社労士だけが関係するとは限りません。
税理士へ相談した方がよいこともあります。
弁護士へ確認した方がよいこともあります。
会社の中で判断すべきこともあります。
私は担当者に正解を知っていてほしいわけではありません。
ただ、
「これは社労士だろうか」
「税理士だろうか」
「まず社内で整理した方がよいだろうか」
と考えられる視点は持っていてほしいと思っています。
専門家を利用しないのではなく、適切に利用するための判断力です。
経験だけでは時間がかかる
こうした力は経験によって身につく部分もあります。
しかし、経験だけに頼ると何年もかかります。
私はこれまでの実務の中で、
- どんな場面で問題が起きるのか
- どんな情報を確認するのか
- どのように整理して考えるのか
を学んできました。
だからこそ、それらを担当者へ伝えたいと考えています。
単に手続きの方法を教えるのではなく、
「どこを見るのか」 「何に気づくべきなのか」 「どう整理するのか」
を伝えることで、経験だけでは何年もかかる成長を後押しできると思うからです。
専門家を上手に活用できる会社を増やしたい
私は、専門家が不要な会社を作りたいわけではありません。
むしろ、
専門家と円滑に連携できる会社を増やしたい
と考えています。
社内の情報が整理され、必要な情報が必要な専門家へ届く。
そして専門家からの助言が正しく社内へ伝わる。
その流れができるだけで、会社の課題解決のスピードも質も大きく変わります。
おわりに
会社の情報がまっすぐ専門家に届く。
そして、専門家からの助言が正しく社内に伝わる。
そんな橋渡しができる担当者を増やしたいと思っています。
担当者に専門家レベルの知識は必要ありません。
ただ、会社で起きていることに気づき、情報を整理し、必要な相手につなげられる力は大切だと思っています。
必要なときに専門家の力を借りながら、より良い判断ができる会社になってほしい。
それが、私が担当者育成にこだわる理由です。


