「昨日は6時間だから、今日は10時間」…この運用、大丈夫ですか?

「うちは1日8時間で見ています」
「昨日は6時間だったので、今日は10時間くらいでも問題ないですね」

実務の中で、こういった考え方を見かけることがあります。

一見、全体で調整しているようにも見えますし、
合理的に感じる部分もあります。

ただ、この運用をそのまま続けていくと、
少しずつ前提がずれていく可能性があります。


「調整しているつもり」でも、少しずれている理由

この考え方のポイントは、

1日の不足分を、別の日で埋める

という発想です。

ですが、労働時間の考え方は、基本的に

1日ごとにどうだったかで見ていくもの

です。

昨日が短かったかどうかではなく、
**“その日、何時間働いたか”**が基準になります。


昨日の分を今日に「足す」ことはできない

ここは少し具体的に整理しておきたい部分です。

昨日6時間だった分を、
今日の労働時間に上乗せして考える、という整理にはなりません。

労働時間はその日ごとに判断されるため、

  • 昨日が6時間でも
  • 今日が10時間だった場合は

8時間を超えた2時間分は、残業として扱われることになります。

「トータルで合っているから問題ない」という考え方ではなく、
その日の8時間を超えたかどうかで見ていく形になります。


なぜ、この考え方が生まれやすいのか

この運用が広がる背景には、
無理のない理由もあります。

  • 全体で帳尻を合わせている感覚がある
  • 柔軟に働いてもらいたいという意図がある
  • 小規模だから細かく分けなくてもいいと思っている

どれも、現場としては自然な発想です。

だからこそ、

「なんとなく合っていそう」

という状態のまま、
見直されずに続いてしまうことがあります。


実務で起こりやすいこと

この状態が続くと、こんなズレが出てきます。

  • 実際の残業時間が把握できなくなる
  • 記録と実態が一致しにくくなる
  • 固定残業の前提があいまいになる

前回の「固定残業代」の話ともつながりますが、
時間の捉え方がずれていると、制度も正しく機能しなくなります。


シンプルに考えるためのポイント

難しく考える必要はありません。

まずは、

  • その日、何時間働いたのか
  • その中で、基準を超えた部分はどこか

という形で、
1日ごとにそのまま捉えることが基本になります。

「昨日が短かったから」という調整は、
別の話として分けて考えると、全体が整理しやすくなります。


小規模事業所だからこそ気づきにくい部分

こうしたズレは、

  • 少人数で回している
  • お互いの状況が見えている
  • 問題なく回っているように感じる

といった環境の中で、
**“見えにくいまま進んでしまう”**ことが多い部分でもあります。


さいごに

「調整しているつもり」の運用でも、
前提が少しずれると、全体も少しずつずれていきます。

大きく変える必要はありませんが、

今の時間の捉え方が、きちんと整理できているか

一度立ち止まって見てみることで、
給与や固定残業の考え方も、自然と整いやすくなります。

6月30日(火)「本当にあった、ちょっと気になる給与の話
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