「うちは10名以下だから、就業規則は関係ない」と言い切られた話

「うちは10名以下だから、就業規則は関係ないですよね?」

小規模事業所の相談で、何度も聞いてきた言葉です。
その後、こんな話が続くことも珍しくありません。

  • 社労士はいらないと思っている
  • 給与計算は時給を払っているから大丈夫
  • 従業員やアルバイトの方は「うちは労災ないから入ってない」と思っている

一つひとつを聞くと、それらしく聞こえます。
でも、並べてみると――どこかちぐはぐです。


「就業規則が関係ない」と言われた時の違和感

確かに、常時10人未満の事業所には、就業規則の作成・届出義務はありません。

でも、それは
「労働基準法が適用されない」という意味ではありません。

  • 労働時間
  • 賃金
  • 残業代
  • 休憩・休日
  • 労災保険

これらは、事業所の規模に関係なく適用されるものです。

「就業規則の提出義務がない」

「法律自体が関係ない」

この2つが、いつの間にか混ざってしまっているケースを多く見ます。


経営側と働く側で、同じ勘違いが起きている

面白いのは、立場が違っても、同じような思い込みが起きていることです。

  • 経営側
    「小さい会社だから制度はそこまで気にしなくていい」
  • 働く側
    「小さい会社だから労災もないと思っている」

誰かが意図的に間違えているわけではありません。
ただ、正確に整理される機会がないまま進んでいるのです。


小規模事業所だからこその良さと、落とし穴

小規模の事業所には、たくさんの良いところがあります。

  • 判断が早い
  • 柔軟に対応できる
  • 現場との距離が近い

一方で、

昔からこうしている
特に問題が起きていない
小さい会社だから大丈夫

こうした理由で、間違えた前提がそのまま使われ続けることも少なくありません。


とくに多いのが「給与の中身」

よく聞くのが、こんな言葉です。

  • 「時給はちゃんと払っています」
  • 「毎月同じ計算をしているので問題ないと思います」

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
でも、それだけで“正しい”と言い切れるかどうかは別の話です。

  • 労働時間の数え方は合っていますか
  • 休憩時間の扱いはどうしていますか
  • 残業が出た場合の計算方法は合っていますか
  • 割増率、最低限を下回っていませんか

小規模だからこそ、
「一度も確認したことがないままの給与計算」
になっているケースも多いのが実情です。


間違いは「悪意」より「思い込み」から生まれる

未払いがある会社=悪い会社、
という話ではありません。

多くは、

  • こういうものだと思っていた
  • 小さい会社は細かく見なくていいと思っていた

という、思い込みの積み重ねです。

だからこそ、気づきにくい。
そして、気づいた時には「ずっとそうしていた」状態になってしまいます。


最後に

就業規則が必ず必要とは限りません。
すべてを完璧に整える必要もありません。

でも、

今払っている給与の内容、
本当に間違っていませんか?

一度立ち止まって確認するだけで、
防げることは意外と多いものです。

次回は、こうした話の流れでよく出てくる
「固定残業代、本当にちゃんと運用できていますか?」
というテーマについて書いてみたいと思います。

6月9日(火)「固定残業代、本当に「ちゃんと」運用できていますか?
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